最近、三島由紀夫の憂国ばかり読んでいる。
短編小説で1時間もあれば余裕で読めてしまうくらいだ。
しかし、後味は凄まじく、いつまでも残ってしまう。
彼自身も、三島由紀夫という人間を知りたかったら、「憂国」さえ読めば分かる
と言っていたくらいだから、色々と凝縮されているのだろう。
「憂国」をベースに書の映像作品をつくるにあたって、自分なりに整理してみようというシリーズ。
三島といえば、右翼とかインテリとかのイメージが先行するが
この小説は描写力がすごく印象に残る。
特に、色彩について。本人は白と黒の描写と言っているが
白黒赤の三色で成り立っている。
殊更、白については異常なほど、強調されていて、この切腹している空間(中尉の家なのだが)が真っ白な空間ではないのかと思ってしまうくらいだ。
まだ観ていないが、憂国映像版だとホワイトな空間になっているらしい。
黒については墨や書の描写が印象強い。
(自分が書の人間だからかもしれない)
特に墨を摩るシーンがとても印象に残る。
赤は血液。
ただ、赤という表現ではなく、真紅とか紅という言葉を使っている為、とても日本的で優美なイメージを受ける。
乱暴な表現をすれば、「切腹」小説であるため、「死」の臭いの強い作品ではあるが、「女」や「性」の香りも感じる。
セックスシーンは勿論のこと、妻帯することによって仲間外れになってしまった中尉。
(規則で妻帯はNGだったらしいのだが)
また、軍刀を男性器の象徴として扱っている点などなど。
右翼だとか戦争だとかといったイメージはいつの間にか消して読んでいることに気がついた。
たぶん続く。。。
0 件のコメント:
コメントを投稿